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平成15年06月定例議会 村長あいさつ

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年6月1日更新

はじめに

6月定例議会開会に当たり一言ご挨拶を申し上げます。去る24日には多くのご来賓の皆様をお迎えして、合同竣工式を執り行うことができました。これらの事業を進めるに当たってお骨折り頂いた皆様に、あらためて深く感謝の意を申し上げます。 さて、平成15年度も早2ヶ月が経過いたしました。前年度の締めくくりと新しい年度の準備が、この間の主な仕事であります。繰り越しをしてきました事業も、ほとんど完了いたしました。議員各位をはじめ村民皆様のご協力に対して、御礼を申し上げます。 この5月末日をもって、14年度の出納を閉鎖いたしました。全ての会計において、赤字を生じることなく決算ができる見込みであります。ただし、歳入においては以前にも増して滞納額が大きくなっております。特に、景気の後退をもろに受けております観光業をはじめ、不安定就労に従事されている方にその傾向が顕著であります。税務職員を増員し、鋭意滞納整理に当たっているところでありますが、いっこうに改善の兆しが見えておりません。税総額では、滞納件数 305件、滞納額において現年度分18,639千円、過年度分19,531千円、合計37,841千円と昨年より3,180千円の増となっております。特に国保税は、総額12,930千円と昨年より,732千円の増額です。また税以外の水道料においては、66件3,487千円、下水道使用料においては6件,661千円。未収金の総額は、下水道の加入者分担金の未収を含め、81,362千円になっております。負担の公平性という観点に立てば、差し押さえや使用制限等の強硬手段をとるべきでありますが、個人の皆さんはほとんど分割納入等により納入を継続されており、事業者の皆さんについても事業継続を考え、分割納入等の方法で対処しております。このほか、不納欠損処分をしなくてはならない事案も多くなってきており、滞納を減らすためにいままで以上の対策を講じなくてはならないと考えます。

世界情勢と経済状況

3月20日に始まったアメリカのイラク攻撃、北朝鮮による核開発疑惑等、平和と共存の21世紀の夢とは大きくかけ離れた事件が相次ぎ、国際情勢も混沌としておりますが、こうした状況は我が国においても例外でなく動きが急展開しています。6月7日には、歴代の自民党内閣が計画しては成立まで至らなかった有事関連法が、与野党の圧倒的賛成で成立いたしました。 個人情報保護法等の関連で、国民の中には疑問や危惧を表する意見もある中での成立であります。戦後憲法の下で育てられた私は、これに対して若干の違和感と危惧を持つものであります。この法律が実際に活用されないことを願うものです。また、有事に当たって自治体の協力を盛り込んでいる訳ですが、多くの自治体関係者の談話等に触れられているように、その中身が明確ではありません。自治権の問題や住民の基本的人権、財産権等の関係の問題についても、今後の課題であるといえます。 また、教育基本法の改正は、最終的には憲法改正等へ進み、戦後民主主義を培ってきた枠組みがはずされようとしています。このことは国の根幹にかかわる問題であり、もっと国民が関心を持って論議しあう機会がつくられなくてはならないと考えます。一方経済状況はいっこうに回復の兆しが見えないばかりか、経済低迷による国民生活への影響は深刻になってきています。政府等が発表するいずれの経済指標も、一様に停滞と表現しておりますが、輸出企業の一部にはこうした中においても最大の利益を出した企業もあり、企業間格差は増大しています。特に地域経済は大きな落ち込みに直面しており、村内企業についてはそれぞれ違いがありますが、受注において横ばいであるものの単価の引き下げ等が行われており、海外依存も大きくなっております。観光業については、花見、善光寺ご開帳等春のシーズンを終えた段階では、個々の施設でばらつきがあるものの昨年並みの入り込みを確保しました。しかし団体旅行の減少、1人当たりの消費額減少もあり今後の入り込みは厳しいものになると予想されます。一方「花桃の郷」として注目されてきた西地区では、この間だけでも約3万人の人々が訪れるなど、園原の里、ヘブンスそのはらの入り込みは順調に推移しました。観光地間の競争は、今後もより厳しいものになることが予想されます。

急激に国の経済の回復が望めない状況にある現在、村単独でも地域の経済を維持していくための対策が急がれます。またこうした状況の中で職を失う人も多くなってきており、特に若年者については深刻であります。土木関係の事業量の減少による雇用対策についても、何らかの措置を講じなくてはなりません。

市町村合併について

次に市町村合併問題については、昨年秋地方制度調査会の西尾私案が発表され、我々小規模自治体の存亡にかかわる問題として波紋を投げかけました。第27次地方制度調査会の中間報告に、この私案がどのように取り上げられるか注目しておりました。それは、1万人未満の自治体を憲法上の自治体として位置づけない、とする記述がなされるかどうかでした。この問題を巡っては、全国町村会も緊急集会を開く等強く反対を表明してきました。この結果、4月末に出された中間報告には人口規模を具体的に記載するものはありませんでした。しかし、内容的には小規模自治体の合併を一層推進するものになっており、秋に出される本報告書か、17年4月以降の合併特例法に替わる法律の中で、再び明記されることも予想されます。
こうした町村合併論議と関連を持つかたちで、財政改革の具体的検討が進められ、地方交付税制度の見直しが具体化されてきております。特に地方分権改革推進会議の意見書は、地方交付税制度の根幹を見直し、交付税の削減と地方への財源移譲の先送りを盛り込んだものになっています。この意見書には委員の中からも反対意見が述べられていますが、三位一体の改革を目指す経済財政諮問会議にも大きな影響を与えるものです。この意見書をきっかけに地方と国の財政配分を巡って財務相と総務相の間で論争が繰り返されていますが、地方の税を増やしていく一方で交付税や国庫補助金の削減を行うという三位一体の改革は進められていくものと思います。その結果、課税客体の乏しい小規模自治体は交付税や、補助金の削減というマイナス面だけを被ることになり、財政的な自立は望めず、必然的に合併の道を選択しなくてはならなくなるのでは、と懸念されます。現在の交付税制度の根幹は堅持させなくてなりません。

こうした全国的な動向を受けて、飯田下伊那地域においても合併を巡る動きが出てきました。一郡一市構想の先送りを受けて飯田市長が表明した、飯田市への編入を希望する町村の申し入れの受け入れ時期に応える形で、平谷村においては住民投票が行われ、その結果合併の道を選ぶことが決まりました。また報道によると喬木村においては、議会の正式同意が得られなかったものの、飯田市との合併任意協議会設置の申し入れを行うことが表明されました。さらに上村、南信濃村も飯田市との合併を考えていることが報道されています。北部ブロックにおいては、喬木村が態度を明確にしたことで個々の対応になるものと考えられます。南部ブロックにおいても、合併に対する考えの違う村もあり研究が続けられていますが、現時点では方向が定まっていないものと考えられます。

西部ブロックにおいては、3月28日に首長会議を持ちました。「ブロックで揃って飯田市に合併を申し入れる」という清内路村からの提案を、阿智村では賛同できないことを表明したことにより、別の検討を行なうことにいたしました。結果としては、「ブロック内の合併も選択枝に入れた、緩やかな連合によって経費の削減を図っていくことで、地区内での自立をめざす研究を進める」こととしました。その後担当者による自立を想定した統一財政シミュレーション作成の勉強会を開催しました。その後平谷村から住民投票の結果を受け、合併を前提とした研究会の立ち上げを飯田市を含めて、提案がありましたが、この提案は受け入れないこととし現在に至っております。こうした状況下にありますが、研究を継続していくことにしております。

本村における合併問題への取り組みは、地方財政が厳しくなる中においても合併も視野に入れながらではあるが、自律の道をできるだけ模索していくこととしてきました。その上で、国において基礎的自治体の人口の数値が明確にされたなら、それに見合うような近隣町村との合併を考えるとしてきました。そのため地方制度調査会の中間報告を見る中で改めて方向を出し、地区懇談会等を行なって方向を見極めていくと共に、住民の皆さんによる懇談会での研究を進めてもらうこととしてきました。しかし、出された中間報告は人口の数値の点については玉虫色のものでありました。そこでこの中間報告をどう評価し、その上にたってどう考えるかを模索するために、専門家を招いての学習会を2回にわたって開催いたしました。こうした経過の中で私は、合併問題について次の3点を基に考えていきたいと思います。

  1. 国の方針を見てもメリット、デメリット論だけでは判断できない。合併を選ぶにしろ自律を選ぶにしろ、将来住民の暮らしが良くなる方向はどちらか、で判断する。大切なことは、決めた方向に向かって、どのように努力していくかということである。
  2. その場合の基本は、住民自治の観点に立って自己決定の度合いが高い自律がより望ましい姿であるが、単独村にこだわることなく、自己決定の度合いの高い選択枝の合併形態も視野に入れて考える。
  3. 将来の村づくりを考える上で地域間共同の拡大や一定の行財政規模の確保が望ましいと判断された場合は、近隣町村との合併を選択する。この場合の合併後の行政の仕組みは、それぞれの地域の住民活力が失われない方式とする。
以上の3点を基にして、早急に方向を探らなくてはならないと考えます。そのためには、住民の皆さんによる村の将来を巡る論議をさらに活発にしていただかなくてはなりません。議会においてもより具体的な検討をお願いしたいと思います。 この問題の根底にあるものは、言うまでもなく財政問題であります。独自財源の乏しい地方への財源保障や、財政調整機能を持った現行制度の大幅変更による歳入削減にどう対応していくかが焦点であります。現在の基準財政需要額べースで4割に近い削減額を想定して、村の財政計画を立てなくてはならないと思います。その上でどの道を選択するか決めなくてはなりません。行政サービスの質や量の問題、公的補助と私的負担の問題等結論を出さなくてはならない問題はたくさんあります。できるだけ早く具体的な検討材料を提示して検討を行っていただきます。 その上で合併を選ぶか自律を選ぶかの住民の皆さんの意向を把握し、次の検討に進んでいくことがよいのではないかと考えます。

議案について

次に本議会に上程する議案についてご説明いたします。  専決処分報告案件6件、繰越明許費繰越計算書の報告案件2件、人事案件1件、辺地対策総合計画策定案件1件、予算案件3件であります。 専決処分報告は、各会計予算について歳入減及び歳出増が確定によって生じた項目について、3月31日をもって専決処分した案件の承認を求めるものであります。 繰越計算書の報告は、事情により14年度内で完成させることのできなかった事業について、繰り越しした事業について承認を求めるものであります。 人事案件は人権擁護委員の一人が任期満了になりますので、新たな候補者について同意を求めるものであります辺地総合計画の策定については、新たに辺地区域の拡大を行うと同時に整備計画を制定したので、議決を求めるものであります。平成15年度一般会計補正予算第1号は、歳入歳出それぞれ66,053千円を追加するものであります。主なものは、公民館図書室の改装に伴って公民館の耐震工事とコミュニティ館と公民館との連結工事を追加して行う工事費等の増と、緊急雇用対策事業導入に係る費用の増が主なものであります。老人保健事業特別会計補正第1号は、確定による還付金が生じたことによる追加を、温泉事業特別会計補正第1号は、レジオネラ菌対策の設備設置に係る事業費の追加を行うものであります。このほか追加日程として、国民健康保険税に係る税条例の改正をお願いする予定であります。上程の都度詳しくご説明いたしますので、ご審議の上議決いただきますようお願いいたします。次に住基ネットの問題について申し上げたいと思います。住基ネットについては国・県の指導により設置をいたしてきており、この8月より本格稼働を行うこととして進めてきました。かねてより個人情報を巡るセキュリティに問題があるのではないかと指摘されていましたが、完璧な安全対策が講じられている、ということでつなぎ込みを行ってきています。しかし、過日県の本人確認情報保護審議会の第1次報告によって、その危険性が指摘され安全を確保するためには多額な費用を必要とすることが判明したとし「従って審議会は、県下の自治体及び県民の個人情報を守り、民主主義を守り、自治体の財政負担を減じるためにも、長野県知事が県下の市町村とともに離脱の決断を下すのが、最も理にかなった方策であると結論づけるものである。」としたものです。 本村のセキュリティ要綱では、村長は安全に疑問を持った場合は直ちに接続をやめることとしてあります。この報告書の内容が事実とするならば、要綱によって接続をやめなくてはなりません。しかし、この審議会は末端で責任を負う市町村の要請で設置されたものではなく、中間機関の県によって設置されたものでありますから、これに拘束されるものではありません。また一方的に県において審議し、何ら市町村の意向を踏まえないまま進められる手法は、それが正しい結論であったとしても、自治体間民主主義に反するもの、といえます。住民の皆さんとすれば、どちらを信用すべきか迷うところであります。審議会が何をもってセキュリティに問題があるとしたのか、確かめなくてはなりません。このための学習会を公民館が主催して行うことは、至極当然のことであります。 8月からの本稼働に向けたカード交付に係る予算補正、これに伴う手数料条例の改正等一連の案件について提案を予定いたしておりましたが、今回は見送ることとし、明日の講演会をお聞きする等、住民の皆さんの理解を得る中で対処したいと思います。

課題について

当面する課題について申し上げたいと思います。 介護保険開始以来3年が経過しました。今年度からの1号被保険者の保険料は、介護費用の増加により約1千円の負担増をお願いしました。在宅介護を進めておりますが、このための必要施設であるデイサービスセンターが手狭になり、また入浴施設も利用に不便をきたしています。これは利用者の増加と重度者利用が多くなったことによります。そのため、施設の改築の必要が要望されてきました。 また、知的障害者のための通所授産施設について、関係者から17年開所の要望が強くあがってきています。これは障害者福祉の制度の改正により村に支援の責任が移ったことと、在宅を希望する方が増えていることによります。高齢者住宅やグループホーム等、地域福祉を支える施設の整備が急がれる状況になってきています。 また、阿智村の新しい農業目標である「安全安心の農作物生産による地域内消費の拡大とグレードアップによる有利販売」を進める「阿智村有機活用農業振興会」が、畜産農家と耕種農家の共同によって発足しました。村としても「阿智村有機活用農業支援条例(仮称)」を制定し、優良堆肥生産や土壌検査等への支援策を講じていくことが必要であります。農産物の生産と併せて付加価値により販売できる加工事業についても、強化していくことが欠かせません。観光と農業、工業を結ぶ新しい産業の創出を進めることが求められています。平成14年度の村の人口動態は、出生42人、死亡75人と自然動態では33人の減少でした。しかし社会動態で28人の増であったので年間では5人の減少でした。このままでは人口減少が恒常化していくことが予想されます。これに歯止めをかけ出生者を増やしていくためには、人口増加対策が欠かせません。雇用の場を確保することに併せ住宅施策を行うことが効果的ですので、早急に計画を作り実施していくことが必要です。  以上当面する課題を思いつくままに申し上げましたが、15年度で計画した各種事業についても、その実施に急いで取り組んで参らなくてはなりません。第4次総合計画の後期基本計画書のダイジェスト版ができましたので、6月中に自治会単位の説明会を行います。それに併せて合併問題の懇談も行っていただくことにいたしております。合併問題では歳出削減の方法について具体的な提案も行って、今後の論議の参考にしていただくよう考えております。部落単位でも私に出席の要請があり、合併問題の懇談を計画していただく所も出てきています。先日信濃毎日新聞の特集記事で、住民自治について阿智村の記事が掲載されていましたが、合併の問題を機に住民自治への実践がさらに高められるように努力して参りたいと考えます。その上でよりベターな結論が導き出されることを願うものです。そのために力を尽くして参りたいと思います。議員各位をはじめ自治会の役員の方、住民の皆さんにご協力をいただきたいとお願いいたします。

最後に

 経済評論家の内橋克人さんがこのごろ出された「もうひとつの日本は可能だ」という書物の中で、「社会を生きる人びとの間に分断と対立を煽り競争一本やりが社会を活性化する道だ、などと唱えるもっともらしい改革論の虚妄を見破り、その逆に人びとの連帯、参加、そして共生こそが何よりも社会を支える人間精神の基本だ、と大きな声をあげよう。」と訴え、「今ある日本の姿に異議を唱えもう一つの日本は可能だと強く、透き通る声で叫ぶときではないか。」と述べております。今私たちは歴史の岐路に立たされております。今ある日本の道を選択するのか、もう一つの日本の道を選択するのかは、私たち一人ひとりの手に握られています。避けて通ることのできない合併問題という課題を前に、そのことを強く感じるものであります。重ねて皆様のご協力をお願いしてあいさつといたします。